日本には各地に多様な伝統工芸が息づいています。その中でも「寄木細工（よせぎざいく）」は、木材本来の色合いを生かし、幾何学模様を組み合わせて美しい模様を作り出す独自の技法で知られています。神奈川県箱根地方を中心に発展してきたこの工芸は、長い歴史の中で磨かれ、今なお多くの人々を魅了しています。

寄木細工は、塗料や染料を使わず、木そのものの自然な色彩を活かして模様を表現する点に大きな特徴があります。樹種ごとに異なる色味や質感を組み合わせることで、シンプルでありながらも複雑で奥行きのある美しさを生み出します。この技法には、木の持つ個性を尊重しながら「自然と調和する美」を追求してきた日本人の感性が宿っています。

本イベントでは、寄木細工の職人から直接技術を学び、オリジナルのコースターや写真立てを作ることができます。普段はなかなか触れる機会のない伝統工芸を、見て・学んで・体験する、かけがえのない時間をお届けします。

―寄木細工の歴史
寄木細工の起源は江戸時代後期にさかのぼります。箱根・小田原地域は古くから木材資源に恵まれ、木工技術が盛んな地域でした。その中で誕生した寄木細工は、木材の色を活かした模様づくりに特徴があり、当初は箱や家具の装飾に用いられていました。
明治時代以降、観光産業の発展とともに寄木細工は広く知られるようになり、箱根土産としても人気を博しました。特に「秘密箱（ひみつばこ）」と呼ばれる仕掛け箱は、寄木模様と精巧な木工技術が融合した逸品として、国内外で注目を集めています。
寄木細工は、単なる木工細工に留まらず、日本の自然観や美意識を象徴する伝統工芸として、今もなお多くの人に愛され続けています。

―素材としての木の魅力
寄木細工に用いられる木材は、すべて自然の色合いを活かしています。赤みを帯びた木、黄色や白に近い木、深い茶色や黒に近い木など、樹種ごとに異なる個性があります。

例えば、
カエデ：明るい乳白色
サクラ：淡いピンクがかった色味
クルミ：落ち着いた茶褐色
エンジュ：黄みがかった茶色
カリン：赤みの強い色合い

これらを組み合わせることで、寄木細工特有の模様が生まれます。自然が作り出した多様な色彩は、人工的な着色では表現できない深みと温かみを持ち、使い込むほどに味わいを増していきます。

―職人技の魅力
寄木細工は、緻密な計算と熟練の技術が求められる工芸です。木材の選定から始まり、模様の設計、正確な切り出し、緻密な接着、そして仕上げに至るまで、一つひとつの工程に職人の経験と感覚が生かされています。

特に模様を作る過程では、木材の角度や厚みを揃える精度が重要です。わずかな誤差でも模様が乱れてしまうため、職人は長年の経験に基づく感覚を頼りに木を削り出し、組み合わせていきます。その結果生まれる模様は、幾何学的でありながらも自然の色合いに満ち、見る者を引き込む美しさを放ちます。

イベントでは、このような職人技を間近で見学し、実際に体験することができます。普段は作品として完成した姿しか目にすることができない寄木細工。その制作過程を学ぶことで、作品への理解と愛着が一層深まることでしょう。

―ワークショップ体験の流れ
体験イベントでは、参加者が実際に木材を使ってコースターや写真立てを制作します。流れは以下の通りです。

木材選び
さまざまな種類の木材から好みの色や質感を選びます。素材そのものに触れながら、自然の多様さを感じることができます。

デザイン決め
職人のアドバイスを受けながら、模様の組み合わせを考えます。伝統的な模様に挑戦するも良し、オリジナルの組み合わせを試すも良し。自由な発想が作品をユニークにします。

組み立て・加工
木片を正確に並べ、接着していきます。集中力と丁寧さが求められる作業ですが、職人がしっかりサポートしますので初心者でも安心です。

仕上げ
磨きをかけることで木の艶が増し、模様がくっきりと浮かび上がります。自分の手で仕上げることで、作品に一層の愛着が湧きます。

完成・お持ち帰り
世界にひとつだけのオリジナル作品が完成します。完成品はそのまま日常で使えるため、体験が暮らしに息づく実感を味わえます。


―職人の技術と感性を体感する
目の前で技を披露する職人の姿から、長年受け継がれてきた技術の重みを実感します。

―自分だけの作品を作る喜び
手を動かし、形にする過程そのものが貴重な体験です。完成品は思い出として残るだけでなく、実際に使える点も魅力です。

―誰でも楽しめるイベント
寄木細工ワークショップは、年齢や経験を問わず楽しめます。
ものづくりが好きな方：細やかな作業に集中し、自分の世界に没頭する楽しみがあります。
伝統工芸に興味がある方：歴史や背景を学びながら、文化を身近に感じることができます。
家族で楽しみたい方：親子で参加すれば、共に作品を作り上げる喜びを分かち合えます。
観光や旅行で訪れる方：旅の思い出として作品を持ち帰れば、旅の記憶が形として残ります。

―原木展示と木の世界
会場には、寄木細工に使われるさまざまな原木の展示もあります。触れて香りを感じたり、重さを比べたりすることで、木の持つ個性を五感で味わうことができます。普段は製品になった姿しか見ない木材。その生の姿に触れることで、自然と人とのつながりを改めて実感できるはずです。

寄木細工は、木と人が織りなす芸術です。自然の色彩を活かした模様は、見る人に温かさと安らぎを与えます。職人から直接学び、自分の手で作る体験は、作品そのもの以上に大切な記憶となります。

世界に一つだけのオリジナル作品を作り、思い出に残るひとときを過ごしませんか。寄木細工の奥深さと、日本のものづくりの精神を、ぜひ体感してください。

寄木細工コースターづくり体験
開催スケジュール　毎月第2・第4土曜日　13：00－/15：30-
参加費　3,300円（税込）（材料費・職人仕上げ込み）
定員　　各回6名
そのほか　当日は開始10分前にはお越しください

※現在10月までは満席となります。11月以降のご予約は10月中旬頃ご案内します。
※詳細はメールにてお問い合わせ下さい。